再エネ賦課金の仕組みと今後の見通し|いつまで上がる?






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再エネ賦課金の仕組みと今後の見通し|いつまで上がる?

目次

はじめに

電気代の明細を見ると「再エネ発電賦課金」という項目が目につきます。この費用、ここ10年でどんどん上がっていたのが印象的です。ただし、2023年度には初めて値下がりし、「これからはどうなるのか」という疑問が生まれています。

再エネ賦課金は、日本が再生可能エネルギーを大きく拡大するために導入された制度に基づいています。その仕組みを理解することで、今後の見通しも見えてきます。

本記事では、電力業界に20年以上携わってきた経験から、再エネ賦課金がなぜ発生し、どう計算されて、今後どうなるのかを詳しく解説します。

FIT制度(固定価格買取制度)とは

再エネ賦課金を理解する第一歩は、FIT制度(Feed-in Tariff:固定価格買取制度)を知ることです。

FIT制度は2012年7月に日本で開始された制度です。太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定期間、一定価格で買い取ることを約束します。この買取価格は、供給側(発電事業者)の経営を安定させるために、市場価格よりも高く設定されています。

FIT制度の3つのポイント

買取義務:電力会社は再エネで発電した電気をすべて買い取る義務がある

固定価格:20年間の買取価格が認定時に固定される(太陽光の場合)

買取費用の負担:その追加費用は、すべての電気利用者が「再エネ賦課金」として負担する

つまり、FIT制度は「再生可能エネルギーの普及を促進する」という目標を、電気利用者全体で費用を分担することで実現する仕組みなのです。

再エネ賦課金の計算方法

再エネ賦課金は、以下の計算式で決まります:

再エネ賦課金総額 = FIT買取費用 − 回避可能費用

その後、全国の電気使用量で割って、1kWhあたりの単価が決まります

「回避可能費用」とは

ここで重要な概念が「回避可能費用」です。これは、再エネを買取せず、代わりに化石燃料で発電したときにかかるであろう費用のことです。

たとえば、太陽光パネルが100万kWh発電した場合、それを火力発電で発電したら費用がいくらかかるか、という計算です。この費用は市場の電力価格が高いときは大きくなり、安いときは小さくなります。

再エネ賦課金 = (再エネの買取費用)−(化石燃料で発電した場合の費用)という設計にすることで、市場価格の変動を反映させ、利用者の負担を抑える工夫がされています。

単価の推移と2023年度の値下がり理由

再エネ賦課金の単価は、毎年どのように変わってきたでしょうか。以下の表を見てください:

年度 再エネ賦課金単価 月300kWh使用時の月額 主な要因
2012年度 0.42円/kWh 約126円 制度開始初期、太陽光導入初期段階
2015年度 1.67円/kWh 約501円 太陽光大量導入、買取費用増加
2018年度 2.95円/kWh 約885円 導入量の増加により買取費用がピーク
2021年度 3.36円/kWh 約1,008円 導入量増加が続くが、増速は鈍化
2022年度 3.45円/kWh 約1,035円 導入量増加、買取費用増加が続く
2023年度 3.49円/kWh 約1,047円 初めての微増に止まる(理由は次項参照)
2024年度 3.39円/kWh 約1,017円 初めての値下がり。回避可能費用が高い
2025年度 3.30円/kWh 約990円 回避可能費用の高止まり

2023年度以降に値下がりした理由

2024年度から再エネ賦課金が下がったのは、「回避可能費用」が大きく上がったからです。

2021年から2023年にかけて、世界的なエネルギー危機により、石油やLNG(液化天然ガス)の価格が大きく上昇しました。その結果、火力発電で代替する場合の費用(回避可能費用)が高くなりました。

再エネ賦課金の計算式「買取費用 − 回避可能費用」において、回避可能費用が大きくなると、利用者が負担する賦課金は小さくなるのです。これは、制度設計上、電力市場の価格変動をある程度吸収する構造になっているということです。

重要ポイント

再エネ賦課金の値下がり=再生可能エネルギーが無くなった、ではなく、むしろ火力発電の代替費用が上がったから、という点をおさえましょう。

家庭への影響:月額でいくら増えたか

再エネ賦課金が上がると、実際の家計にどう影響するのか、月300kWh使用する典型的な家庭で見てみましょう:

  • 2012年度:月約126円
  • 2018年度:月約885円(6年で7倍に)
  • 2022年度:月約1,035円
  • 2024年度:月約1,017円(初めて減少)

2012年度から2022年度までの10年間で、月額で約910円の負担増が生じたことになります。年間にすると約11,000円です。

ただし2024年度以降は、わずかながら減少傾向に転じています。これが今後も続くかは、国際的なエネルギー価格と、再エネ導入量の伸びにかかっています。

今後の見通し:いつピークを迎えるのか

FIT買取期間終了のスケジュール

再エネ賦課金の計算に大きく影響するのが、FIT認定を受けた再エネ発電設備の「買取期間の終了」です。

FIT制度は2012年7月から始まりました。太陽光発電の買取期間は20年間に設定されています。つまり:

  • 2012年7月〜2013年3月に認定された太陽光 → 2032年〜2033年に買取期間が終了
  • 2013年4月以降に認定された太陽光 → 順次、2033年以降に終了

2032年〜2033年頃を境に、新規の買取費用が急速に減少し始めます。その結果、再エネ賦課金も徐々に減少していくと予想されています。

FIP制度への移行

ただし、単純に買取が終わるだけではありません。新しく建設される再生可能エネルギー発電は、2023年度から「FIP制度」(Feed-in Premium)へ移行しています。

FIP制度は、市場価格が低いときだけ補助金を支給する制度です。FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、発電事業者が市場で売却して、不足分を補い、という形になります。

この移行により、新規の再エネ発電に対する利用者負担(賦課金)は、FITより抑えられるようになります。

今後の見通し(予測)

2026年〜2032年:買取費用の増加がピークを迎える。賦課金は緩やかに上昇するか、現在の水準で推移する見込み

2033年以降:最初のFIT買取期間が満了し、買取費用が急速に減少。賦課金は大きく下がると予想

長期的には:FIP制度の拡大により、利用者負担はFIT期間より低く抑えられるはず

再エネ賦課金を減らす方法はあるか

「再エネ賦課金は電力会社を変えても変わらない」というのを聞いたことはありませんか。これは事実です。再エネ賦課金は全国統一の額であり、どの電力会社と契約していても同じです。

では、実際に月々の費用を減らす方法はあるのでしょうか。

1. 再エネ賦課金そのものは削減できない

残念ながら、個人や家庭の選択では、再エネ賦課金の単価を下げることはできません。これは国の制度であり、全員に等しく課せられます。

2. 使用量を削減する

再エネ賦課金は「1kWhあたり○○円」という形で課されるため、使用量を減らせば、その分の賦課金も減ります。

  • LED照明への切り替え
  • 高効率エアコンの導入
  • 冷蔵庫や給湯器の効率化
  • こまめな節電習慣

これらは再エネ賦課金のみならず、電気代全体の削減にもつながります。

3. 太陽光パネルの自家消費

自宅に太陽光パネルを設置して、発電した電気を自分で使う(自家消費)場合、その分は電力会社から購入していないため、再エネ賦課金が課されません。

ただし、初期投資や設置可能性の問題があるため、すべての家庭に適しているわけではありません。

まとめ

再エネ賦課金のポイント整理

1. 仕組み:FIT制度で電力会社が購入する再エネの買取費用を、すべての電気利用者が「再エネ賦課金」として負担している

2. 計算式:買取費用から回避可能費用を差し引いた額を、全国の電気使用量で割って単価が決まる

3. 推移:2012年〜2022年は大きく上昇し、2024年以降初めて下がり始めた。その理由は国際エネルギー価格の上昇により回避可能費用が増加したから

4. 家計への影響:月300kWh使用の家庭では、月約1,000円の負担。年換算では12,000円程度

5. 今後:2032年〜2033年にFIT買取期間が満了し始めるため、その後は賦課金は大きく下がると予想。FIP制度への移行も利用者負担を抑える効果がある

6. 削減方法:賦課金の単価そのものは変えられないが、使用量削減や太陽光自家消費で負担額を減らすことは可能

再エネ賦課金は、日本が再生可能エネルギーを大きく増やすための「必要な費用」です。しかし、その仕組みを理解すれば、今後どのような変化が起きるのか、また自分たちにできることは何かが見えてきます。

2030年代に向けて、再エネ賦課金は減少傾向へ転じる見込みです。その間、賢く電気と向き合うことが大切です。


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