「このサイトで紹介していないプランがあるのはなぜですか?」という質問を頂くことがあります。実は本サイトでは、意図的にいくつかの電力プランを掲載対象外としています。その理由は、シンプルです。「過去のデータから正確な料金を再現できないプランは、読者をミスリードする可能性がある」と考えているからです。
ここでは、除外プランの基準と、その背景にある考え方についてわかりやすく解説します。
なぜプランを除外するのか
電気代比較サイトの信頼性を支えるのは「データの正確性」です。本サイトの比較は、2020年1月から2025年12月までの72ヶ月分の実績データをもとに、各プランの月別料金を計算しています。
ただし、すべてのプランがこの過去データを使った再現計算に対応しているわけではありません。一部のプランは、料金計算に必要な「実績値」を公開していないため、正確な比較ができないのです。
「掲載しないと読者が損するのでは?」と思うかもしれません。しかし、不正確な推定値で比較するほうが、読者へのリスクは大きいと考えています。このサイトの信念は、「推定より実績」です。
除外の3パターン
パターン1:独自燃調で月別実績値が非公開
一部の電力会社は、東電の燃料費調整単価に依存しない「独自の燃料費調整方式」を採用しています。この方式では、企業が定めた独自のルールに従って月別の調整額が決まります。
問題は、この「独自ルール」の詳細が非公開である場合が多いということです。燃調単価の構成要素(油種別の価格、為替レート、調整幅など)が明かされていなければ、過去72ヶ月分の実績を再現することができません。推定値で埋めることもできますが、それは「この会社なら月いくら安くなるか」という読者の判断を歪めてしまいます。
具体的には、グランデータ、Japan電力、サニックスでんき、HTBエナジーなど、複数の企業がこの独自燃調方式を採用しています。これらの企業に悪意があるわけではなく、むしろ経営戦略として「柔軟な燃調運営」を選択しているのですが、透明性の点で過去データの再現が困難なのです。
詳しくは【B-I-3】燃料費調整額が毎月変わるワケ — 石油価格との連動メカニズムをご参照ください。
パターン2:市場連動型で企業独自の調整額実績が非公開
JEPX(日本電力取引所)の市場価格に連動するプランも、市場連動型として一般的です。しかし、企業によって「市場価格への反映方法」が異なります。
Looopでんきのように「JEPX30分値に損失率と消費税を加えたシンプルな式」を公開している企業もあれば、「独自の調整係数」を加えている企業もあります。この独自調整係数が明らかでなければ、実績データから逆算して再現することが困難になります。
特に「マージン」や「リスク調整額」として企業が独自に決めた値は、過去のデータからは見えません。そのため、過去72ヶ月の実績を正確に計算できないのです。
詳しくは【B-I-4】市場連動型プランの仕組み — 30分ごとに価格が変わる電気代をご参照ください。
パターン3:サービス開始が新しく、過去データが不足
2023年や2024年にサービスを開始したばかりのプランは、72ヶ月分の実績データを持ちません。例えば、idemitsuでんきなど、最近参入した企業のプランがこれに該当します。
新しいプランであっても、料金の仕組みが明確で「2020年1月に遡って計算したら月いくらだったか」を理論的に再現できれば、比較対象に含めることは可能です。しかし、燃調方式が不明確であれば、やはり比較の対象外となります。
詳しくは【B-I-8】新電力の情報透明性 — 選ぶ際の判断軸をご参照ください。
「除外=悪い」ではない
除外プランの事業者に悪意はありません。むしろ、「独自の燃調運営で企業の経営柔軟性を高める」や「顧客向けにシンプルな固定料金を提供する」といった戦略として、透明性よりも別の価値を優先しているだけです。
本サイトで「比較できない」という判定は、あくまで「このサイトのデータベース上での比較方法には対応していない」という意味です。除外されたプランが「あなたにとって最適な選択肢ではない」というわけではありません。
実際に、独自燃調を採用している企業の中には、消費者にとって十分に安いプランもあります。ただし、その安さが「持続的なのか」「ほかのプランとの相対比較でどの程度なのか」を過去データから検証できないため、本サイトでは掲載を見合わせています。
採用プランへの信頼の根拠
本サイトで掲載している32プランは、すべて「2020年1月から2025年12月までの72ヶ月分の実績データを再現できたプラン」です。
採用プランの事業者は20社にわたり、料金体系も多様です。基本料金ありから基本料金0円まで、従量電灯型から市場連動型まで、さまざまな戦略を持つ企業が含まれています。
各プランについて、以下の検証を完了しています。
- 東電燃料費調整単価との連携確認:72ヶ月分の東電公表値をもとに、各プランの燃調額を月別に計算。実際の請求額と齟齬がないことを確認済み
- JEPX市場連動型の精度検証:市場連動型プランについては、JEPX30分コマデータ(過去5年分、約26万データポイント)を使用して月別の市場価格を計算し、各企業の計算式で逆算
- 基本料金・従量料金の変動追跡:各プランの契約条件変更(料金改定等)がある場合は、その実施日を特定し、月単位で正確に反映
まとめ
本サイトで除外されているプランは、決して「悪いプラン」ではありません。単に「過去実績をもとに正確な比較を行うという本サイトの方針に、データ上対応していない」というだけの話です。
電力会社選びは、複数の選択肢から自分に最適なものを選ぶプロセスです。本サイトで比較できない除外プランが、あなたにとって最適な選択肢である可能性も十分あります。その場合は、直接事業者に問い合わせて、料金シミュレーションを依頼することをお勧めします。
重要なのは、「正確なデータに基づいて判断する」という姿勢です。本サイトは、その一助となるための道具として機能しています。
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