電気代ナビのシミュレーターは、予測ではなく過去の実績データで計算します。2020年から2025年の6年分の実績を基に、「もしこのプランで生活していたら月額いくらだったか」を正確に算出することができます。燃料費は誰にも予測できませんが、過去の事実なら絶対的な根拠になります。
ここでは、シミュレーターの計算方式と入力項目、含まれる料金について説明します。
シミュレーターは何をしているのか
シミュレーターは、あなたの過去6年間の使用パターンを想定し、それぞれの年の燃調・再エネ率を当てはめて月額電気代を計算します。「もしあの年の燃料費のもとで、このプランを契約していたら」という仮想計算を行うのです。
例えば、2024年は燃料費が高い年でしたが、2020年は安い年でした。シミュレーターは「2020年のコストならいくら、2024年のコストならいくら」という具合に、年ごとの実績燃調を適用して月額を算出します。この結果を6年分平均すれば、「安い年も高い年も含めた平均的な月額」が見えてきます。
予測ではなく過去実績を使う利点は、数字に絶対的な信頼性があることです。燃料価格が今後どう動くかは専門家にも予測不可能ですが、過去の事実は動きません。
入力項目の説明
シミュレーターを使う際に入力する項目は、いくつかの必須項目と詳細設定に分かれます。
必須入力項目
世帯人数(1〜4人)
シミュレーターの基本設定です。1人なら月平均150kWh、2人なら250kWh、3人なら350kWh、4人なら500kWhを標準使用量として自動設定します。これらの数字は、東京電力管内の実際の平均データに基づいており、東京エリアの需要実績に基づいて季節変動を反映しています。世帯人数を選ぶと、同時に契約アンペアも自動で設定されます。1人は20A、2人は30A、3人は40A、4人は50Aが目安です。
表示年(2020〜2025年)
どの年度のデータで計算するかを選べます。デフォルトは2025年ですが、「2020年だったら安かった」といった具体的な比較も可能です。複数年を並べて見ると、燃料費の変動がどれほど電気代に影響するかが一目瞭然です。
詳細設定(任意)
月間使用量kWh の手動変更
標準値(1人月平均150kWh等)から自分の実績に合わせて変更できます。毎月の検針票を見て「うちは月平均200kWh使ってる」と気づいたら、ここで調整します。入力した月平均値は、年間を通した月ごとの需要変動を反映した月別使用量に自動的に按分されます。
契約アンペアの手動変更
20A から 50A の範囲内で自由に選べます。基本料金は契約アンペアで決まるため、アンペア数を下げると基本料金も下がります。ただし、実生活で瞬間的に大電力を使う場合は、安易な引き下げは避けるべきです。
計算に含まれるもの・含まれないもの
シミュレーターの計算式は透明性を重視して設計されています。何が含まれ、何が含まれないかを明確にしておきます。
含まれる項目
- 基本料金
契約アンペアに応じた月額固定費。東京電力準拠の単価で計算します。 - 従量料金(電力量料金)
使用量に応じた段階別料金。1段階目、2段階目、3段階目の単価を東電準拠で適用します。 - 燃料費調整額(燃調)
72ヶ月分の東京電力実績燃調を月別に適用。「その月の実際の燃調がいくらだったか」を正確に反映します。 - 再エネ賦課金
年度ごとの実績単価を適用。2025年度は3.49円/kWh、2024年度は3.45円/kWh といった具合に、実績値を使います。 - 容量拠出金
2024年度以降のデータに含まれます。安定供給を支える費用として計上されます。 - 託送料金
東京電力管内の一般送配電事業者(東京電力パワーグリッド)の託送料金を含みます。基本料金と従量料金に内含されています。 - 政府補助
2023年度の電気・ガス代補助(1kWh あたり3.45円)が適用された期間は、その減額を反映しています。
含まれない項目
- セット割
ガスとのセット割や、スマートメーター割など、各電力会社の独自割引は計算に含みません。理由は、プランごと・会社ごとに異なるため、公平な比較ができないからです。 - ポイント還元・キャッシュバック
クレジットカード決済時のポイント、キャンペーンのキャッシュバックは含みません。 - 個別割引(夜間蓄熱割、昼間不在割など)
特定の使用パターンに対応した割引は、シミュレーターの標準計算には含まれていません。
セット割やポイント還元を含めた詳細な電力会社比較は、別記事の「電気料金の全体像」と各プラン個別レビュー記事を参照してください。
なぜ「予測」ではなく「過去実績」なのか
電気代シミュレーターは、多くの場合「来月の電気代をいくらか予測する」という目的で使われます。しかし、予測は常に不確実です。特に燃料費は、国際的な政治情勢やエネルギー需給に左右される要因が大きく、10ヶ月先まで正確に予測することは専門家にも困難です。
一方で、過去の実績データなら話は別です。2020年 4月からの72ヶ月、実際に東京電力の料金メニューの下で何が起きたのかは記録に残っています。その期間、最も安い燃調の月もあれば、最も高い燃調の月もありました。
シミュレーターは、この6年分の実績を「すべて同じウェイト」で見ます。「2024年のような高燃調の時代が続くはず」と仮定することも、「2020年のような安い時代に戻る」と仮定することも、根拠がありません。だからこそ、「安い年も高い年も含めた平均」を提示するほうが、読者にとって公正な判断材料になると考えています。
もし来年の電気代を「予測したい」なら、燃料価格予測やエネルギー業界のレポートを参考にすべきです。しかし、電力会社選びの判断基準として使うなら、信頼できる過去実績に基づく平均値が最適です。
データソース — 信頼性の根拠
シミュレーターに使われるデータはすべて公開情報です。
東京電力燃料費調整額
東京電力ホールディングス が月ごとに公表する燃調(72ヶ月分)を使用しています。これは実際の燃料価格(石油、LNG、石炭の輸入価格)に基づいて計算された公式値です。
JEPX(日本卸電力取引所)30分コマ価格
市場連動型プランの計算に必要な場合、JEPX が公開している30分ごとの約定価格を参照します。
再エネ賦課金
資源エネルギー庁が年度ごとに決定する単価です。2025年度3.49円/kWh 、2024年度3.45円/kWh など、実績値を適用しています。
容量拠出金
2024年度の導入に伴い、公開されている制度単価を反映しています。
まとめ
電気代ナビのシミュレーターは、過去6年の実績データに基づいて月額電気代を計算するツールです。燃料費の予測は避け、代わりに「安い年も高い年も含めた平均」を提示することで、電力会社選びの判断に必要な信頼性を確保しています。
基本料金、従量料金、燃調、再エネ賦課金、容量拠出金、託送料金が含まれ、セット割やポイント還元は含まれていません。この透明性によって、複数の電力会社を公平に比較することができます。
シミュレーターの結果だけで判断するのではなく、「なぜこの計算式を選んだのか」という背景を理解した上で使用することをお勧めします。
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