一般的な電力比較サイトは「今月の料金表」から料金を試算するだけです。しかし電気代ナビは2020年1月から2025年12月までの72ヶ月間の実績データを使って、「もしこのプランで過ごしていたら毎月いくらだったか」を再現します。
ここでは、なぜ過去データで比較するのか、その理由をわかりやすく解説します。
多くの電力比較サイトは、各社の公開している最新の料金表を使って、「今月または来月の料金がいくらになるか」を計算しています。これは一見、正確に見えるかもしれません。
ところが、電気代は毎月変動します。特に大きく変動するのが「燃料費調整額」です。2022年から2023年にかけて、世界的なエネルギー価格高騰で燃料費が異常に上昇し、電気代が一気に値上げされました。その後、2023年6月以降、少しずつ値下がりしています。
「今月は安いプランが、6ヶ月後は高いプランになっている」という事態は、決して珍しくないのです。つまり、現在の料金表だけを見ていては、長期的に安心できるプランが選べないのです。
企業のサイトで「料金シミュレーター」を使うと、数字が出てきます。しかし、その数字が本当に実現できるのかは、実際に使ってみるまで分かりません。
市場連動型のプランは特に注意が必要です。宣伝文句では「市場価格が安い時期は非常に安い」と謳われていますが、市場価格が高い時期はどうなるのか。2022年には、市場連動型プランの電気代が東電の1.5倍以上に跳ね上がった時期があります。シミュレーション結果の「平均値」だけを見ていては、こうしたリスクが見えないのです。
対比:電気代ナビの方法
実際に2020年1月から2025年12月まで、その電力会社のプランで電気を使っていたら、毎月いくら払っていたのかを計算。「平均値」ではなく「毎月の変動」が見える。
2022年から2023年は、電気代にとって特別な時期でした。ウクライナ情勢やEU制裁によるエネルギー供給逼迫から、液化天然ガス(LNG)価格が過去最高を記録。それに伴い、燃料費調整額が急騰しました。
この時期に「東電准拠の燃調」を採用している企業と「独自の燃調」を採用している企業で、料金水準が大きく分かれました。東電の燃調は政府の激変緩和措置(2023年1月以降)で上限キャップが設定されたのに対し、一部の新電力は「独自燃調で上限なし」のため、びっくりするほど高くなった例も多くあります。
72ヶ月のデータには、この「地獄の時期」が含まれています。「その企業は本当に信頼できるのか」を見るには、こうした試練を乗り越えた実績が必須です。
2023年1月から2025年5月にかけて、政府が電気代の激変緩和措置(補助金)を実施していました。この措置によって、電気代は実勢価格より低く抑えられていました。
2023年6月から新制度がスタートし、料金計算方式がリセットされました。燃料費調整の計算方法も変わりました。72ヶ月のデータは、こうした制度変更をすべて含んでいます。
つまり、「過去6年間の実績」を見ることで、「正常時の料金」「高騰時の料金」「補助金期間中の料金」「制度リセット後の料金」のすべてが分かるのです。
では、なぜ1年間ではなく6年間なのか。電気代の変動周期を考えると、1年間では不十分です。
例えば、「去年1年間、このプランが安かった」という情報は、その企業の料金体系が良いのではなく、「たまたまその企業の料金ロック戦略がその時期に有効だった」に過ぎない可能性があります。6年間という十分な期間を見ることで、「たまたまの安さ」ではなく「構造的な競争力」が分かります。
また、季節変動も含まれます。冬は電気代が高くなりやすい(暖房需要)、夏は高くなりやすい(冷房需要)。6年間あれば、12回の四季サイクルが含まれ、季節による変動も平準化されます。
市場連動型のプランは、2020年は非常に安かったのに対し、2022年は東電の1.5倍になりました。6年間のデータを見ることで、「このプランは年によって変動が大きい」という事実が、数字として明確になります。
一方、東電準拠の燃調を採用しているプランは、燃料費高騰期であっても「東電と同じ程度」の変動に留まります。データ上の差として現れるので、「安定性」の判断ができるわけです。
料金表では「月50円安い」と書かれていても、実際には月200円高い場合があります。なぜか。料金表の「基本料金」は安いが、「従量料金」が高い、という例です。
72ヶ月の実績で毎月の請求額を再現すると、こうした「見た目の安さ」と「実質的な安さ」の違いが浮き彫りになります。
「東電準拠」と言っているプランが本当に東電と同じ燃調になっているか。6年間のデータを東電の燃調と照らし合わせれば、一目瞭然です。「独自燃調」と言いながら、実は東電を大きく上回っている企業も分かります。
電気代ナビが72ヶ月(2020年1月〜2025年12月)の実績データを使う理由は、一言で言えば「長期的に信頼できるプラン」を見つけるためです。
燃料費の高騰期も、政府補助金期間も、制度リセット後も。「あらゆる条件」を経験したプランだけが、「本当に安定して安いプラン」と言えるのです。
現在の料金表を見ているだけでは分からない、企業の本当の実力が、数字として示されます。