事業所の電気料金の請求書を見たとき、「基本料金のkVA制」「従量電灯C」といった用語に戸惑ったことはありませんか?法人向けの電気料金は、家庭用とは全く異なる体系で計算されています。この違いを理解することが、電力会社選びの第一歩です。
ここでは、法人の電気料金の仕組みを、家庭用との違いと共に、わかりやすく解説していきます。
法人用と家庭用 — 料金体系の大きな違い
法人向けの電気料金は、基本料金の決め方から従量料金の仕組みまで、家庭用とは大きく異なります。これは、事業所と家庭では「電気の使い方」が根本的に違うためです。
家庭では、昼間に複数の家族が様々な家電を使用します。一方、事業所では、業務時間帯に継続的に大量の電気を使用することが一般的です。このような使用パターンの違いに対応するため、電気料金も別の体系になっているのです。
基本料金 — 「アンペア制」から「kVA制」へ
最も分かりやすい違いは、基本料金の決め方です。家庭用は「アンペア(A)」で契約するのに対し、法人用は「キロボルトアンペア(kVA)」で契約します。
家庭用(従量電灯B):
基本料金は「30A、40A、50A、60A」という「契約電流」で決まります。アンペア数が大きいほど、基本料金が高くなる仕組みです。例えば東京電力の場合、30Aなら月額858円、50Aなら月額1,430円という具合です。
法人用(従量電灯C・低圧電力):
基本料金は「6kVA、7kVA、8kVA」といった「契約容量」で決まります。この「kVA」は、事業所が瞬間的に使用できる最大の電力量を示しています。kVA値が大きいほど、より大容量の機械を同時に稼働させることができます。
この違いの背景にあるのは、電力会社の「設備投資」です。家庭では細い電線で対応できますが、事業所では太い電線や大容量の変圧器が必要になります。そのため、契約容量(kVA)に応じた投資コストを基本料金として請求する仕組みになっているのです。
従量料金 — 3段階構造は共通、ただし単価が違う
家庭用でも法人用でも、実際に使った電気量に応じて「従量料金」が発生します。多くの電力会社は「3段階料金」を採用しており、使用量が増えるほど単価が高くなる仕組みになっています。
ここで重要な点は、法人用の単価が家庭用よりも低い傾向にあるということです。これは、事業所の方が高い使用量を見込めるため、電力会社も単価を下げられるからです。
例えば東京電力の場合、家庭用(従量電灯B)の第2段階単価は約29.74円/kWh ですが、法人用(従量電灯C)の第2段階単価は約27.82円/kWh となっています。一見小さな差ですが、月間1,000kWhを使用する事業所であれば、年間で数万円の差が生まれることになります。
燃料費調整額と再エネ賦課金 — ここは共通
燃料費調整額と再エネ賦課金に関しては、家庭用も法人用も仕組みは同じです。
燃料費調整額:
石油やLNG(液化天然ガス)などの発電燃料の価格変動に基づいて、毎月変動します。燃料価格が上がれば電気代が上がり、下がれば下がります。これは「どの電力会社を選んでも」基本的に同じ仕組みです。ただし、市場連動型プランの場合は、この計算方法が異なります。
再エネ賦課金:
太陽光や風力などの再生可能エネルギーを推進するため、全ての電気利用者から徴収される費用です。2025年度は3.49円/kWh となっており、「どの電力会社を選んでも同じ単価」で請求されます。
「契約種別」の違い — あなたの事業所は「従量電灯C」?「低圧電力」?
法人用の電気料金には、さらに「契約種別」という概念があります。事業所の用途によって、適用される料金表が異なるのです。
① 従量電灯C(ショップ、オフィス向け)
小売店、美容室、クリニック、オフィスといった、照明やエアコン、OA機器が主な負荷の施設向けです。「日中に電気を使う」という一般的なパターンに対応しています。基本料金はkVA制で、3段階の従量料金が適用されます。
② 低圧電力(工場、飲食店向け)
工場、飲食店(厨房機器が多い)、駐車場など、大型の動力機械を使用する施設向けです。基本料金はkVA制ですが、従量料金の体系が異なります。多くの場合「力率」という概念が導入され、より詳細な料金計算が行われます。
まとめ — 法人電気料金の3つのポイント
法人向け電気料金の最大の特徴は、家庭用とは異なる「基本料金の決め方(アンペア制→kVA制)」にあります。加えて、従量料金の単価が若干低いこと、そして「契約種別」によって料金表が変わることが重要です。
燃料費調整額と再エネ賦課金は、どの電力会社を選んでも基本的に同じです。つまり、電気代を削減したいなら、基本料金と従量料金の水準を比較することが効果的です。自社の事業所がどの契約種別に該当するのかを把握した上で、複数の電力会社を比較することが、最適な電力会社選びにつながります。
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